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読書ノート

読書日記『正欲』

「多様性って言いながら一つの方向に俺らを導こうとするなよ」

そんな台詞がすごく刺ささります。

誰にも分かってもらえない切なさ。

分かり合うことを強要する身勝手さ。

この小説は、多様なフェティシズムが出てくるダイバーシティをテーマにした物語です。

読むと、自分が考える多様性がいかに画一的だったことかと反省させられます。

自分のことを理解ある側の人間だと少しでも思っていたことが恥ずかしくなり、

世の中には想像すらしてもらえない感情がたくさんあるのだと気づきます。

小説だけどこれはこの世界の話なんだと。

 

例えば、

「異性の体に興奮する人」は正常で、

「蛇口から噴出する水飛沫を見て興奮する人」は、その存在さえ認めてもらえない。

「そんなヤツいるわけない」となってしまうでしょう。

 

主人公たちは、そんな誰にも理解してもらえない感情やフェティシズムを抱きながらも

それが異常だと自認していた。だからこそ誰にも打ち明けることなく生きてきた。

その不安や悲しさや苦しみ。誰とも分かち合えない孤独感はどれほどのものだったでしょう。

 

でも、もしも同じ感情を抱く仲間に出会えたなら。

その「繋がり」がこの世界に自分をとどめておいてくれる。

明日死ななくてもいい世界になる。

明日も生きていたいと思える世界になる。

 

「あってはならない感情なんて、この世にはないんだから」

 

凪良ゆうさん著の『流浪の月』を思い出しました。

社会に理解されない関係性の二人。

この読中も「理解してもらわなくていいから、二人をほっておいてあげて」と何度も思いました。

誰かのことを安易に分かろうとすることさえ、

浅はかな考えなのかもしれませんね。

 

「多様性」という言葉だけが先走るような世界にはならないでほしいと思います。

どんな人にも今こそ読んでほしい良書でした。

映画化も気になりますね。

 

書名:正欲

著者:朝井リョウ

発行:新潮社

感想:島村

『イマユラ』

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読書ノートNo.15

書 名  『イマユラ』

著者名  山本精一

出版社名 Pヴァイン

 

「想い出波止場」や「BOREDOMS」「MOST」など数々のバンドで活躍する

山本精一氏の3作目となる随筆集。

摩訶不思議で荒唐無稽な文章は、山本精一氏の作り出す音楽のイメージを裏切らない。

現実と虚構がまざりあい、最終的には小説になってしまうほど縦横無尽。

酒に酔うと木と相撲をってしまう癖の話など、山本氏の生活はまるで日本昔話のようで

読んでいると、つい声にだして笑ってしまう。

文章を通して、山本氏の異様なまでの好奇心の強さが浮き彫りになっていく様は、

突き抜けていてとても気持ちが良い。

『イマユラ』に掲載されていたかは覚えていないが、オリンピックに熱中しすぎるあまり

何か記録に残さねばと、オリンピックを見ている自分をハンディカムで撮影していたという話には驚愕した。

 

読後も、狐につままれたような ぽかん とした気持ちになるが、それが妙に気持ちよかったりするので

4作目が出版されても買って読み、また ぽかん とさせられたいと思う。

 

 

自分は去年の12月にリーブルへ入社したので、リーブルの「読書の時間」を残念ながら経験していません。

「読書の時間」があったのを少しうらやましく思い、今回読書ノートを書かせていただきました。

今後もブログを書かせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 

ラクガキ・マスター

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読書ノートNo.14

書 名  『ラクガキ・マスター』

著者名  寄藤 文平

出版社名 美術出版社

 

イラストレーター寄藤文平さんが書いたラクガキの本。

この人が描くテーマはいつも面白い。「死」のこととか「ウンコ」のこととか。

 

それを自分のイラストといっしょに書いているから、読みやすいし、わかりやすい。

今回もラクガキといいながら、絵を描くのがちょっと上手くなるなる。

 

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結構ためになる内容で、かなり面白い。

そして結構笑える。

 

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単なるお絵描きを卒業して、イラストとして成立させる第一歩にいい本。

08

 

『ちいさなちいさな王様』

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読書ノートNo.13

書 名  『ちいさなちいさな王様』

著者名  アクセル・ハッケ

出版社名 講談社

 

表紙と挿絵が印象的だったので買って読みました。

ある平凡なサラリーマンの男の人とその部屋にやってくる人差し指くらいの大きさの

太った小さい王様とのお話で、その小さい王様の世界では、生まれたときが一番大きく、

生まれた時点で文字を書いたり、パソコンでプログラミングしたりなど大抵のことができるらしく、

年をとるにつれて色々できなくなったり、体が小さくなっていき、

最後には見えなくなるほど小さくなるといなくなったとされるという

こちらとは違う生き方の人で、そこの違いなどの会話をしたり、男の人が王様の家に訪問したり、

おもちゃの車にのったりなど非現実的なことを体験して成長するというのは

どういうことなのかということを考える(感じる?)話でした。

 

大人になるっていいことなのかな?とか

いつもの日常も違う視点でみれば違ってみえるんだな等、

考えさせられたりするところもありましたが、

読んでいてなんとなく気持ちが落ち着くような感じがしました。

 

全然まとまらなかったのでなんとも伝わりにくいと思いますが・・・。

 

 

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『不登校は1日3分の働きかけで99%解決する』

不登校

 

読書ノートNo.12

書 名  『不登校は1日3分の働きかけで99%解決する』

著者名  森田 直樹

出版社名 リーブル出版

 

春です! すっかり暖かくなってきて、新入生、新社会人のフレッシュな空気に包まれています。

そんな中『不登校は1日3分の働きかけで99%解決する』です。

不登校って…明るい話ではありませんよね。

しかししかし!私はこの本にとっても助けられたのです。

 

つい2、3年前までは不登校なんて考えたこともなかった私ですが、娘が生まれてから

何となく、引きこもりになったらどうしようとか、不登校にならない保証なんてどこにもないぜ!?

と脳天気ないらぬ心配もちらほらしていたのですが、不登校ならぬ登園拒否が急にはじまったのです。

 

去年の春でした。

保育園で遊んでいて腕を骨折した娘は、そのまま手術、入院、自宅療養で新学期早々に

新しい保育園生活から離脱。そのことも気にかかっていましたが、

当時2歳の娘には骨折、手術は本当に辛く苦しい試練でした。

痛い痛いと泣く娘を大丈夫だよ、とだっこしても彼女の痛みが治まるわけはなく、

仕事も長い間お休みしなければならず、なんでこんなことになってしまったのか

私自身も生まれてきて一番辛い出来事でした。

 

それでも2週間ほどしたら、しばらく家で私と二人だった娘は、保育園行きたいと言い始めていました。

行き始めてしばらくすると、はじまった登園しぶり。

毎朝大泣きする娘を何とか車に乗せ保育園まで連れて行き、

「かあちゃ〜〜〜〜ん!」と絶叫している声を背中で聞きながら

自分は一体何やっているんだろう、こんなに嫌がっているのに休ませてあげることもできず、

ふがいなさと後ろめたさで泣きながら職場へ向かう毎日。

骨折で有給休暇を使い果たしていたので、易々と休む事もできません。

仕事をやめることも何度か考えました。

けれどそれがこのことを解決する手段ではないことはわかってもいます。

毎日泣き叫ぶ娘をどうしてあげることもできず、誰かに助けを求めることもできず、

ただ一日一日を過ごすことに精一杯の毎日でした。

 

そんな時出会ったのがこの本『不登校は1日3分の働きかけで99%解決する』です。

その頃、仕事で新しくwebページを作るのに片っ端からリーブルの本を読んでいました。

最初はなんか不登校って重い題材だな〜と、自分の娘のこととは全くリンクせずに読んでいました。

しかし!! 一気に読んで、がーーーん。これうちんくのことや。しかもこれなら自分にもできそうやし

絶対保育園笑って行けるようになる! よかった〜〜〜!!と涙がでたことを覚えています。

骨折手術で娘が精神的にもとても消耗していて、保育園にいく元気がなくなっているようであること、

自分自身、どうやら出口のない暗い穴に入り込んでいたことにも気づけました。

 

不登校の子どもをもつ親は、自分を責め想像以上に追いつめられています。

子どももまた、自分自身も苦しいし、また親が苦しんでいるのを見ることは、子どもにとってまた辛いことです。

この本は、全く誰のことも責めません。それどころか誰にでもできる解決方法が書かれています。

不登校はもとより、子育てで悩む人、人間関係なんかで悩んでいる人にも解決の糸口が見つけられるんじゃないかと思います。

アマゾンではとても評価がよく、たくさんよせていただいているレビューは涙なくしては読めません。

たくさんの方がこの本に救われたんだと、あらためて凄い本だと嬉しくなります。

 

長くなりましたが、新学期を迎え何となく行きたくない…とつぶやく娘。

あ!こころのコップの水がなくなりかけてるな!!とこの本のことを思いだし、

先週からコンプリメントしはじめています。

 

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09

 

 

 

 

『感動する脳』

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読書ノートNo.11

書 名  『感動する脳』

著者名  茂木健一郎

出版社名 PHP文庫

 

どうもみなさんこんにちは、リーブルのマレーグマこと工場長です。

『感動する脳』とても面白く、ためになりました。

脳の神経回路は、年齢に関係なく鍛えることができるそうです。

脳は感動することで活性化されるそうで、活性化された脳は、

日常生活の些細な事でも感動を覚えるようになるらしい。

脳がいつでも感動できる状態でいることが若く生きていくコツだそうです!

またネガティブな脳になる落ち込んだ時は、ネガティブな感情を上回る位の、

ポジティブな感情を脳に送り込めばいいそうです……簡単に書かれていましたが、

実際難しいですよね。

でも人間の脳には、負のスパイラルから抜け出す能力が組み込まれているらしいです。

目の前のことをクヨクヨ考えるのではなく、ちがった角度から考えると、

いろんなことの解決の糸口が見えるような気がしてきました。

 

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『ルリュールおじさん』

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読書ノートNo.10

書 名  『ルリュールおじさん』

著者名  いせひでこ

出版社名 理論社

 

パリ……ある少女の図鑑がバラバラになってしまった。

新しい図鑑を買うより、この使い込まれた図鑑をどうしても治したい少女。

そんなとき、ルリュール(本作りの職人・もう一度つなげる)おじさんと出会う。

 

少女の大切な本が、おじさんの手によってもう一度生まれ変わっていく行程が、

美しく、わかりやすく絵に表現されています。

おじさん自身、自らの父親と自分を比べ、「私も父のような魔法の手をもてただろうか」と

迷い悩でいるが、少女と自分の小さい頃の光景をだぶらせ、

少しづつほどけていくふたりの心と姿に、切なくも暖かさを感じた本でした。

 

今はほぼ機械化され、パリの製本職人はひとけたぐらいになっているそうです。

 

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『みんな元気だ』

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読書ノートNo.9

書 名  『みんな元気だ』

著者名  椎名誠・文  和田誠・絵

出版社名 文化出版局

 

この本は作者である椎名誠さんが見てきた野生動物を、

“誠同士”のコンビで送る、面白動物絵本です。

R-iさんに借りて読みました。

私としてはあまり行きたくないアマゾンとか、マサイ族のいるアフリカとか、

南半球の端っこにあるフォークランドなど、自然そのものの動物、

シロクマ、アザラシ、サメ、オオカミ、なまけもの達と

出会ったことを絵にして話しています。

 

アマゾンのジャングルで一番見つけやすいのが、なまけものだそうです。

なまけものはただ木の上でじっとしていますが、

一週間に一回は糞をするのに動くそうです。泳ぐ時だってあるそうです。

他にもたくさんありますが、この面白さは言葉でなかなかうまく伝えられないので、

皆さんぜひ一度読んでみてください!

野生動物となると実際に遭遇すると怖そうですが、

この本を読むと全然そんな感じがしなかったです。

 

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『生き方上手』

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読書ノートNo.8

書 名  『生き方上手』

著者名  日野原重明(医師)

出版社名 ユーリーグ

 

人生の中年とは50歳から始まる……。何事も捉え方次第で変わる。

日野原医師が患者さんと話をするとき、必ずといっていいほど大抵の患者さんは、

「私ほど不幸者はいない」と言われるそうだ。

その時、日野原医師はいつも患者さんに、

「あなたの苦しみはどん底の苦しみの10分の1くらいでしかないでしょう」

と、医師が出会った本当に胸が潰れるくらい辛い人生を送られた人の話をしてあげると、

その患者さんは納得して、今の自分はそんなに不幸ではないと考え直します。

私自身も不幸なことは敏感すぎるくらい感じてしまう面がある。

反対に幸せには、案外鈍感な自分がいることに気づかされる。

 

人はいくつになっても生き方を変えられる……人生は習慣である。

かのアリストテレスは、「習慣とは繰り返された運動」であり、

習慣が人間の性格や品性をつくると言っており、習慣に早くから配慮したものは、

人生の実りも大きく、習慣をあなどった者の人生はむなしいものに終わってしまう。

習慣は日々の積み重ねだから、それが習い性になってしまえば、

その後は辛いとも面倒だとも感じなくなる。よい習慣をからだに覚え込ませればよいと……、

う〜〜ん!

普段は習慣などということはあまり意識しないで生活しているし、

自分が日々とっている行動が習慣になっている部分があるのか。

一日が終わる時点でその日のことを振り返ってみたら、

なにが習慣になっているか発見できるかもしれない。

 

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『リズム』

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読書ノートNo.7

書 名  『リズム』

著者名  森絵都

出版社名 角川文庫

 

自分自身の変化に恐怖心を持たず、たとえ周りが変化したとしても、

惑わされない自分だけの「リズム」を生み出せたとしたら、

自分を取り巻く世界の中に、きっと素敵な未来を見つけられるような気がする。

 

何気ない普通の、ごくありふれた日常の中で起きてしまう、ほんの小さな問題や波紋のようなものは、

無くそうとしても、その術は見つからない。

過ぎていく日々は過去の出来事のように忘れて、またそれぞれの道を歩んでいく。

いつまでも、その時の自分で居ることはできず、ただ時間が過ぎていく。そんな日々を繰り返す毎日。

そんな風に変わっていってしまうのなら、すべてはムダなんじゃないか。

信じられるものは、この世の中に何もないんじゃないか。そんな考えも浮かんできてしまいます。

だからといって、幸福感や記憶、その出来事の輝きが消えてしまうわけではないはず。

その時に感じた気持ちは、真実であることに違いはない。

いつかは変わってしまうものだとしても、一瞬の中に存在する永遠を、否定することは誰にもできない。

そういう想いを抱かされた一冊です。

少しだけ切なくて、でも前を向き歩んでいく主人公の明るさに心を打たれたラストが印象に残っています。

自分の青春の思い出の1ページと照らし合わせたり、

中学生の良き時代のことが、思い浮かんで青春時代をもう1度経験したいと、

日常の生活に支障が出てしまいそうになりました。でも、ササッと読める本です。

 

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