自費出版:グラフィック系
自費出版:文章系

グラフィックデザイン・プロデュース2012

 

2012年度、高知大学デザイン研究室「グラフィックデザイン・プロデュース2012」の

プリンティングディレクションをさせていただきました。

 

3年前から、高知大学の生徒さんがリーブルに社内見学に来てくれるなど、

交流があったわけですが、今回は、高知大の吉岡先生が、

「あとはおまかせします!」

と言ってくれたようでディレクションさせていただくことになりました。

 

はじめ、入稿データ(クライアントさんの出力)を見たときに、

まず、1冊まるまる読んでみました。

見学に来てくれた生徒さんの作品と文章に心を奪われました。

 

どうやってカッコ良く面白くするかを考えました。

本文は、キレイに印刷することは当然です。

後は、この冊子を初めて目にする人に、どうインパクトを与えるか。

本文の内容を思い浮かべながらプリンタ出力とにらめっこ。

そこでこういう案が出て来ました。

 

 

表紙に関しては、印刷以外はほぼ手作業。

先日から借りているバーコ印刷用の機械も使っての案。

小口塗装は初めての経験。

いろんな問題が発生するのは作業する前からわかっていました。

ただ、やるかやらないかを考えた時に、

どっちがカッコいいか、で考えると、

無謀な案でも、絶対やった方がカッコいいという結論になりました。

 

 

①オフセット墨1Cで印刷

 

ここにも僕のこだわりがあります。

インキは全国のデザイナーさんから指定されることが多いインキを選定。

 

高知ではおそらく僕しか使ってないんじゃないかな。

独自で調べてインキメーカーさんに直接電話して、

異例の直販のオッケーをもらったのが3年前ぐらいかな。

今は資材屋さんから購入できるようになりましたが、

インキを買うのにこれだけ苦労したことはありませんでしたね。

このインキの特徴は、墨のインキの成分「カーボンブラック」が100%ってこと。

要するに濃いんです。好きな「黒色」なんですよ。

 

 

②マットニスを印刷。ストライプのツヤを消す。

 

 

今回使用したのは、T&K TOKAのベストワン マットOPニス

 

他のメーカーさんのニスより固めで(私感)扱いやすい。

次の工程の作業性を考えて2日間乾燥させます。

 

 

③バーコ印刷

まず、イメージを現実に近づけるために印刷ではなく乾燥の遅いペンでテスト。

手書きのためキレイではないですが…

 

イメージどおりの浮き出し加減。

 

今回は以前使ってたバーコ用のパウダーにするか取り寄せたパウダーにするか迷いました。

 

 

取り寄せたものの、実践で使用したことがあったので、前回の#18を使用することに決定。

 

ここからは1枚1枚手作業です。まずバーコ加工したいところをメジュームで印刷。

20枚ぐらいずつ印刷しては、バーコ加工。それのくり返し。

 

 

 

作業中の動画です

 

 

1枚でこれぐらいかかる作業を400枚加工しました。

このあたりから、リーブルの他の社員からも

「アホかー!」

みたいな空気も、

「どんなオモシロイものが出来るの?」

みたいな空気に変わっていたと思います。(たぶん)

 

 

④製本

この作業は仕上げのお姉さま方におまかせ〜

事前に大変な作業がある!って告知していたので快く作業してくれました。

というのも、バーコ印刷した表紙の紙は、かなり反り返っていたのです。

そのため通常ひとりでできる作業を2人体制で作業してくれました。(感謝)

 

しかし、また問題が起こりました。

通常、見返し(力紙)というのは表紙にくっつけるものですが、

表紙の反り返りが邪魔してくっつけるとぐにゃっとなってしまう。

 

 

これはどうしようもないってあきらめかけてたんですが、

ここ最近の製本もの(出版物)では、わざと見返しをくっつけてないものもある。

では、そういう捉え方にしようと決断しました。

ぐにゃっとなっているよりは良い。苦渋の決断でした。

 

 

⑤小口塗装

リーブルの長い歴史の中でもはじめての作業です。

はじめは缶スプレーで塗装しようと思ったのですが、

不安になりお世話になっているペンキ屋さんにTEL!!!

いろんなことを考えていただき、

「ペンキよりもアクリル絵の具を使ってみては?」

と新しい案をだしていただきました。

りっちゃん様、アドバイスありがとうございました!

 

アクリル絵の具で作業しようと思って色々調べていたら、

染料や顔料をエアガンのスプレーで塗装・染め上げると言う方法にいきつきました。

藍熊染料という染料屋さんに電話で詳しく方法を教えてもらいました。

藍熊染料の担当のB様、本当にありがとうございました。

いろいろ話した結果、通常は顔料でやるそうですが、今回はあえて染料で挑戦。

 

 

 

届いたときは、

「印刷屋が何やってんだろう」

って思いましたが、ワクワクしていました!

 

染料をお湯で溶かしてスプレーします。

 

 

大成功!!!

 

本当はもっと明るい蛍光ピンクに仕上がる予定でしたが、

ブリリアントピンクという染料は、どちらかというと紫に近かったです。

しかし、表紙の黒色との相性がよくてカッコいいです!

リーブルの事務所に数冊置いているのですが、

やはり目立つようで、同業者の方からも、

「これどうやって加工したの?」

と聞かれることも多くなりました。

まぁ、そのときはこう言います。

「アホな印刷工とそれを許し見守ってくれる社員が居たらできますよ!」

以上!

 

 

 

あとがき

 

とても大変な作業で途中投げ出したくもなりましたw

しかし、仕上りを見るたびに達成感と満足感でいっぱいです。

納品時には担当営業と同行し、クライアントの吉岡先生に手渡しすることができました。

少し苦労話とどうやって作業したかを話させてもらうことができてよかったです。

この記事を書くのも、企業秘密をバラすようで迷いましたが、

どう考えても誰もここまでやらないだろうって思い、アップすることにしました。

1年に1度のビッグイベントとして、これからも発注してもらえるように

今後も研究を重ねていきたいと思っております。

 

吉岡先生、高知大の生徒さん、これからもよろしくお願いします!

 

 

レポート 2013年3月22日(金)

株式会社リーブル 製造課長 小石晃弘

写真撮影 協力:デザイナーH & S(サンキュっ!)

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