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読書ノート

『ネバネバネバ〜ギブアップ』

表紙

 

読書ノートNo.6

書 名  『ネバネバネバ〜ギブアップ』

著者名  清田 学

出版社名 リーブル出版

 

出張のときに南風の中でバーっと一気に読みました。

本が一冊できるまでには、たくさんの人の想いが詰まっているものです。

この『ネバネバ〜』は、本当に多くの人をハラハラさせたり、怒らせたりした、

ある意味いろんな人の想いが詰まっている珍しい本ではないかと思います。

 

僕自身もそうでしたが、進路選択や就職活動のとき(男は特にそうかもしれませんが……僕だけですかね(^_^;))

何も考えてないというか、成り行き任せだったりして、入ってみて初めて、

「なんか違うな」

と違和感を感じたり、でも後には引き返せなかったりして……、

という人が意外と多いような気がします。(僕だけですかね(^_^;))

 

著者の清田さんはフラフラしているように見えますが、

そのときそのときの自分の正直な気持ちに、きちんと向き合って、

必死に前に進もうともがき、失敗して、怒られたり、愛想つかされたりしながらも、

やっぱりちゃんと前進しています。

自分と向き合い、さらけ出して何度も挫折したことであろう今回の出版ですが、

彼自身、親にもなり、これから先もっと困難なことが待ち受けていることでしょう。

しかし、今回の出版は少なからず、それに立ち向かう力となって彼を支えることでしょう。

そして多くの人に「自分でも本を出版できるのではないか」「自分も頑張って前に進んでいこう」という

勇気と希望を間違いなく与えたと思います。

 

リーブルでもっとこういう本を出せるようになればいいなと、素直におもいました。

 

04

『キミは他人に鼻毛が出てますよと言えるか』

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読書ノートNo.5

書 名  『キミは他人に鼻毛が出てますよと言えるか』

著者名  北尾 トロ

出版社名 幻冬舎

 

しばらく本棚で眠っていたものを、祖父の葬儀に向かう際思い立ち、とっさに鞄に押し込んだ一冊。

高知から鹿児島への機内で広げてはじめて、この本を持って来てしまったことに気付き、苦笑い。

最初は読む気にならずぼーっと外を眺めていたけれど、思考がめぐってどうしていいか分からない頭の中を、

大いに助けてくれたように思う。読み始めてからあっという間に鹿児島に着いたように感じた。

 

内容は、筆者が裏モノ雑誌で“やってみたかったけど、

“できなかったこと” というテーマで連載していた記事を、厳選して再編集したというもの。

第一章は “知らない人に話しかける” というチャレンジについて。

電車内や休日のお台場、街の公園など、今や大人すら赤の他人と交流を持つことがない世の中で、

散々な目に合いつつもあの手この手で挑む赤裸々なレポートが実にリアルで見ていられない。

 

第二章は “他人に注意する” チャレンジ。

仕事仲間や取引先初対面の人、競馬場の親父、電車内の若者…。

この記事を読んでいると、いかに黙認されている悪習慣が横行しているかよく分かる。

危険な目に遭うこともあったようだけれど、どんな時も周囲を観察する著者の目線から、

ライターという職業の、冷静に臨場感を探り当てていく姿勢がうかがえる。

しかし本文は、ゴリゴリの熱い人のそれではない。

あくまで力の抜けた文で綴ってくれているので、いい調子で読むことができた。

 

もう一つ、この本の良い所は後半にあると思う。

章ごとに段々と難易度があがるチャレンジは、4章では良い話になる。

好きだった女性に年月を経て気持ちを伝える、恩師に謝る、母と照れ臭い話をする、など。

現実に起こす良い話の結末はなんともドライだ。思ったほど盛り上がらない代わりに、

そこに隠れている本物の後悔の念が実に切ない。すべての人が後悔していることを、改めて知ることができる。

この章では、その時の自分の気持ちもリンクしてすこし切なかった。

手にした本のタイミングというか、引き寄せのようなものには、いつも少し胸が震えてしまう。

 

最後には番外編として、“消えたフリーライター持馬ツヨシの行方を追う” という小説のような話がある。

これもまた筆者のレポートではあるけれど、鳥肌ものの本当の話。

筆者から金を借りたまま行方が分からなくなった人物を探るという内容だ。

良い人が書く巧妙な面白い話より、異常な思考回路を持った人間が起こすノンフィクションの方が、

はるかに救いがなく奇妙だと思った。やりたくてもできなかったことなど、彼らには無いかもしれない。

想像の範囲を出ないけれど、筆者の狙い目が本当はこの話だったとして、

連載は当初から布石だったとしたらと考えると、またすごい。

 

事実はよほど、小説より奇なりだ。

 

05

『ハイゼンベルグの顕微鏡〜不確定性原理は超えられるか』

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読書ノートNo.4

書 名  『ハイゼンベルグの顕微鏡〜不確定性原理は超えられるか』

著者名  石井 茂

出版社名 日経BP社

 

 

最近アインシュタインの相対性原理をくつがえすような、

光よりも速い速度を持つ、ニュートリノが発見されたという研究が発表されたり、

不確定性原理が成り立たないという研究が発表された。

 

もう一度不確定性原理を読んでみたくなり読み始めた。

この本には不確定性原理や、ハイゼンベルクの実体験について、

そのアウトラインが書かれていて、あまり知られていない面白いエピソードなども書かれています。

不確定性原理の内容より、研究をした科学者たちや研究過程の話が大半で、少し物足りないところもある。

 

13

『計画と無計画のあいだ 「自由が丘のほがらかな出版社」の話』

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読書ノートNo.3

書名 『計画と無計画のあいだ 「自由が丘のほがらかな出版社」の話』

著者名 三島 邦弘

出版社名 河出書房新社

 

 

東京自由が丘にある小さな出版社「ミシマ社」の代表が、起業から現在までの歴史や思いを書いた本。

中古の一軒家がミシマ社のオフィス兼本屋。

畳の部屋に古びたちゃぶ台があり、それを6〜8人(全社員)が囲んで全体会や出版会議もする。

一年に刊行する新刊はたったの6冊ほど。既存の出版社のイメージからはほど遠い。

だけれどなぜだかうまくいっている会社。

そんなおもしろい会社だから、雑誌などのメディアに取り上げられることも多く、前から気になっていた。

 

読み進めていくと、途中、僕にとってはすごくショックな情報があった。

それは出版業界の返本に関する問題だ。

出版業界の売上は96年をピークに微減を続けているけれど、一年間に刊行される新刊の数は、92年に3万8000点だったのが、

現在では約8万点に倍増していて、単純計算しても新刊の売れ行きは半分になったということ。

そして売れない本は出版社に返本され、倉庫に眠り、大半は二度と日の目を見ないまま、断裁・焼却の憂き目にあう。

2008年にはその返本率が実に4割にも達していて、売れ行きが伸びないのを補うかのように、出版社は新刊点数を増やす。

そんな悪循環が続いていて、この出版業界の構造を「資源の無駄」と一刀両断する人もいるという事だった。

莫大な量の木を伐採して作った紙で、玉石混淆に本を作り、年間に想像もつかないような量の本が処分されているのだから、

資源の無駄といわれてもしかたない。

僕は週に一度は書店に行くけれど、確かに行くたびに違う新刊が並んでいる。出版業界が右肩下がりなのも知っている。

でもそれはなんとなく知っているだけで、こうして数字を見せられると、少しでも出版に関わる人間としてはショックだった。

僕が本を買う理由は、そこに書かれている情報だけじゃなくて、プロダクトとしての「デザイン」だったり

「趣」「佇まい」だったりするから、今まで電子書籍に魅力を感じなかったけれど、電子書籍だってもちろんちゃんと読めるわけだし、

すごく合理的なものであることは間違いないように思う。

逆に、資源保護が叫ばれる時代に、半分は捨てられるであろう本を作り続けていくことは、

時代に逆行したナンセンスな事なのかもしれないと考えさせられもした。

 

それ以外の内容としては、要は代表の三島さんの熱意と人間力みたいなもののおかげで、

ちょっと個性的で出版社社員としての一芸に秀でた人間が不思議と集まり、三島さんが「感覚」に頼り「熱量」を込めた、

一見無計画な判断や行動が、結果的におもしろいものを生み出している。

「とにかく一冊一冊最大限の熱量を注いで、一冊入魂で本を作る」というような内容だった。

それほど面白くはなかったけれど、「無計画」の魅力みたいなものはあるんだろうなと思った。

ラフ通りにできあがったデザインはきっとつまらないし、全てプロット通りにできあがった小説も、

スケジュール通りに行動するだけの旅行もきっとつまらない。

考えていなかった「無計画」から生まれる部分に、人は心踊らせたり、夢を見たりするのかもしれないな、とは思った。

 

10

『希望・まめだ先生と朝倉ゼミナール』

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読書ノートNo.2

書名 『希望・まめだ先生と朝倉ゼミナール』

著者名 森 尚水

出版社名 リーブル出版

 

久しぶりに森尚水先生に会った。

数回見かけたり一言二言話したりすることはあったが、お仕事をいただけるということで話すのは10数年ぶりではないだろうか。

森先生は私の最も尊敬する先生の一人だ。しかし親しくなるきっかけはとってもあっけなかった。

 

県教組の仕事をしていた関係で見知っていた程度だったと思うが、ある日近所のスーパーでばったり出会ったことがあった。

型どおりに頭を下げてすれ違おうとした、ちょうどその時先生が、

「そうや、今度出したい本があるので、一回相談に行きます」と突然、ぽつんと言われた。

私はびっくりして、ただただ「それはありがとうございます。ぜひお願いいたします」と言ってそのまま別れた。

まだ出版部を立ち上げたばかりだったので、そんな私に、なんで仕事を依頼してくれるんだろう、ととても不思議な気持ちがした。

信頼してもらえる何かを感じてもらえたんだな、ということがとてもうれしかったのを覚えている。

 

それ以来、たぶん「まめだ先生」という四コマ漫画本も合わせると、10冊は本を出していただいたと思う。

先生との本作りはいつも楽しかった。こちらを信頼していただけているのが肌で感じるのだ。

細かなことは一切言わなかったけれど、いつも満足していただいたと思う。私は先生の本を作る喜びをいつも感じていた。

なぜ先生とはそういう関係でいられたのだろう。

先生についての私の大好きなエピソードがある。先生が会社に来られる日はいつも決まっていた。それは先生がボーナスをもらった日だ。

その日にオンボロのカブに乗ってきて、私の前にまだ封も切られていないボーナス袋を出される。「何ぼ残っていたかね」と支払残金を聞かれる。

「○○円です」というと、封を切ってそのお金を支払って、それではまた、と言って帰られる。

そのお金に執着しない潔さが私にはまぶしく、こんな生き方をしたいものだ!と思いながら毎回見送っていた。

 

その人にお金の価値を超えさせてしまう本。

「自費出版するとはこういうことなのだ!」

それが私の出版に対する思いの原点となった。

 

今回の本はそんな森先生の教育に対する思いの集大成ともいうべきものだと思う。

私はこの本で、なぜ先生が、何種類もの病気を抱えながら、細長く糸を引くような命の炎を揺らしながら、

子供たちを徹底して主人公にする教育、自分の私財を投げうって打ち込まれている出版やゼミナール活動、

死の瞬間まで子どもたちを育てようという意志を貫かれようとするのかをはじめて知った。

先生もまた、優れた教育者に育てられた子どもであったのだ。その恩返しを今実践されているのだ。

 

人生とはペイフォワードだと思う。

自分が与えてもらった幸せを、その人にではなく、次を担う者たちを幸せにすることで、次を託していくことこそが、生きる目的なのだと思う。

私はそんな尊敬する先生が、私を選んで出版してくれたことをとても誇りに思う。

教育とは、その人が生きるために困りそうなことやと困ったときに、解決できる力をつけてやることだと思った。それは会社でも同じだと思う。

子どもから成長して大人になっていく過程で、分からないこと困ることは、星屑の数ほど起こるものだから、

その時々に対応できるようにしてあげることが一番大切なことなのだ。それをしなければ人を育てたとは言えないだろう。

 

2012年10月 新本勝庸 読書ノートより

社長facebook

 

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『博士の愛した数式』

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読書ノートNo.1

書名 『博士の愛した数式』

著者名 小川洋子

出版社名 新潮社

 

どうしてこれほど、しんと静かでやさしい、

 

穏やかな文が生まれてくるのだろう。

 

この人の文章に触れるたびに、

 

いったいどのような育ち方をした人なのだろうと、

 

しみじみと深く考えこんでしまう。

 

きめ細かい糸で綿密に長い時間をかけて、

 

織り上げられた絹織物の手触りのやわらかさを

 

うっとりと味わいたくて、いつも枕元に置いて手にする一冊です。

 

こんなふうにおだやかで心の通い合う会話をしあう人が

 

いっぱいの世の中になったら、平和で幸せだろうにねぇ。

 

 

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2007年  ちよちゃんが書いた『読書ノート』

 

『佐賀のがばいばあちゃん』島田洋七

『光って見えるものあれは』川上弘美

『教育崩壊〜夢教育で私が再生に挑む』渡邊美樹

『パタゴニア〜あるいは風とタンポポの物語』椎名誠

『博士の愛した数式』小川洋子

『信濃デッサン館日記+父への手紙』窪島誠一郎

『It(それ)と呼ばれた子①〜④』デイブ・ペルサー

『海岸列車 上下』宮本輝

『わが人生の時の時』『弟』『わが人生のときの人々』石原慎太郎

『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』アレン・ネルソン

『思い出のアンネフランク』ミープ・ヒース

『僕は13歳、職業兵士』鬼丸昌也・小川真吾 共著

『氷の華』天野節子

『編集者としての戦い』見城徹

『食品の裏側 みんな大好きな食品添加物』安部司

『さよならどんべえ』畑正憲

『さよならがいえなくて 助けて悲しみから』水谷修 生徒ジュン

『森の中の海 上下』宮本輝

『天の夜曲(流転の海シリーズ第4部)』宮本輝

『花の回廊(流転の海シリーズ第5部)』宮本輝

『ハラスのいた日々(増補版)』中野孝次

『アサッテの人』諏訪哲史

『ミーナの行進』小川洋子

『私の地球遍歴〜環境破壊の現場を訪ねて』石弘之

『なんくるなく、ない 沖縄奄美旅の日記ほか』よしもとばなな

『島のように 川のように 森の哲人アユトンとの旅』長倉洋海

『世界がもし100人の村だったら』著者不明 池田香代子訳 C.ダグラス・スミス対訳

『オウエンとムゼイ』イザベラ・ハトコフ ポーラ・カフンブ

『反転〜闇社会の守護神と呼ばれて』田中森一

『足りないピース』宮﨑あおい・宮﨑将

『ビロードのうさぎ』マージェリィ・W・ビアンコ原作

『イッセー尾形の遊泳生活』イッセー尾形

『生協の白石さん』白石昌則・東京農工大の学生の皆さん

『精霊流し』さだまさし

『谷は眠っていた 富良野塾の記録』倉本聰

『愚者の旅』倉本聰

『りつこ・その愛』『りつこ・その死』檀一雄

『ありがとうございません』檀ふみ

『いつまでもデブと思うなよ』岡田斗司夫

『二本指のピアニスト』ウ・カプスン

 

02

読書ノート

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リーブルでは毎朝読書の時間があります。

仕事で忙しい朝などは読めないのですが、朝礼後10分ほどみんな静かに読書をしています。

 

10分で本が読めるのか、仕事は大丈夫なのか、最初は不安の声もありました。

しかし初めてみるととてもいい時間で、静かに仕事にうつれて、しかも頭の中が整理されて

いい気持ちで仕事に取りかかることができます。

つい声を出して笑ってしまうことや、涙ぐむこともしばしばです。

読む本はそれぞれが好きな本を読みます。

そして読んだ本の感想文を月に一回出版部に提出します。

 

その感想文のことをリーブルでは『読書ノート』と読んでいます。

多い人では100冊分ほど『読書ノート』がある人もいます。

たまりにたまったこの『読書ノート』をついに

少しずつですが、ブログにて公開していこうかと思います。

 

ドキドキ。乞うご期待です!

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左端の一番上の1枚は記念すべき第一回目の社長の『読書ノート』

最近ではパソコンで入力している社長ですが、この時は手書きでした!

……達筆すぎて?読めません!(笑)