読書ノートNo.10
書 名 『ルリュールおじさん』
著者名 いせひでこ
出版社名 理論社
パリ……ある少女の図鑑がバラバラになってしまった。
新しい図鑑を買うより、この使い込まれた図鑑をどうしても治したい少女。
そんなとき、ルリュール(本作りの職人・もう一度つなげる)おじさんと出会う。
少女の大切な本が、おじさんの手によってもう一度生まれ変わっていく行程が、
美しく、わかりやすく絵に表現されています。
おじさん自身、自らの父親と自分を比べ、「私も父のような魔法の手をもてただろうか」と
迷い悩でいるが、少女と自分の小さい頃の光景をだぶらせ、
少しづつほどけていくふたりの心と姿に、切なくも暖かさを感じた本でした。
今はほぼ機械化され、パリの製本職人はひとけたぐらいになっているそうです。